症状はあるの?

集合「キャリア」というのは、持続的に肝炎ウイルスを持っていることを示す言葉です。よく「保菌者」という表現が使われますが、ウイルスは細菌ではないので、厳密に言うと正しい表現ではありません。もしかすると、ウイルスと細菌の違いが今ひとつわかりにくいというのは、この言い方が誤解を招いているのかもしれません。
B型肝炎ウイルス(HBV)のキャリアは、全国に約150万人いるといわれています。そのうちの大半は、自分がキャリアであることを知らないまま暮らしているのです。
無症候性(肝炎の症状のない)キャリアから慢性肝炎、肝がんになる確率はどれぐらいあるのか。気になるのはこの点です。
一般的には、B型肝炎ウイルスは得体の知れない非常に怖いもののように捉えられていますが、じつはB型肝炎の無症候性キャリアが慢性肝炎になる確率は決して高いものではなく、約10%です。さらに肝硬変、肝がんを発症するのは、そのうちの1~2%といわれています。ですから、そんなに神経を尖らせて心配することはないといえるでしょう。
ただ、B型肝炎は、突然発症して死に至ることが多い劇症肝炎を起こす可能性があります。また、慢性肝炎→肝硬変→肝がんという段階を経ることなく、突然、肝がんを発症する可能性もあることは知っておく必要があります。





どんな風になっていくの?

エコー検査母子感染の場合は、90%以上はHBe抗原(血中にB型肝炎ウイルスが多いことを示すマーカー)陽性の無症候性キャリアとなって、ある時期までは健康な状態で過ごします。ところが思春期になると、B型肝炎ウイルスを体内から排除しようと、体の免疫ウイルスが感染した肝細胞への攻撃をはじめます。無症候性キャリアのほとんどの方が10代から30代で一度肝炎を発症するのです。おそらく免疫機能が発達してくるからだと思うのですが、何がきっかけなのかよくわかっていません。ただ、発症しても非常に症状が軽いことが多いので、90%という大半の人は、本人が気づくことなく数年で自然におさまってしまいます。症状はおさまってもウイルスは排除されずに残りますから、キャリアでなくなるということはありません。
では、現時点でキャリアとわかった人は、何に気をつけたらいいのでしょうか。慢性肝炎は自覚症状がないため、本人が気づかないまま放置してしまうと、「おかしいな」と思った時には肝硬変、肝がんということもあり得ます。そうならないためには、定期的に血液検査やエコー検査を受けて、異常がないかどうかを確認していくことが大切です。無症候性キャリアの方は、かかりつけの医師と相談して、年に2回を目安に定期チェックをしていきましょう。